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一宮淺間神社
いちみやあさまじんじゃ
山梨県西八代郡市川三郷町高田3696  Zenrin Data Com Maps display !!


羽団扇

式内社 甲斐國八代郡 淺間神社 名神大
甲斐國一宮
旧村社

御祭神
木花咲耶姫命
合祀
瓊瓊杵尊 彦火火出見尊 事解男命

山梨県の市川三郷町にある。
身延線・市川大門駅の南1Kmほど。
4号線から東へ、あるいは409号線から西へ。
道路の脇に、北向きの朱の鳥居が建ち、
かたわらに、「一宮淺間神社」と刻まれた社号標。

参拝は、11月の休日の朝。
昇りはじめた朝日が木々の間から眩しい頃。

鳥居の右手に続く車道を登り、
境内の駐車場に車を止めて参拝開始。
とりあえず、鳥居の場所に戻ってから。

階段を登り、参道を歩く。
参道の中央に、小さな石橋があるが意味はわからない。
参道をさらに進むと、楼門形式の神門がある。
神門は、西向きなので、本来の参道は
梅沢川から続いていたのかもしれない。

神門をくぐると境内。
社殿は、拝殿も本殿も赤い。
11月なので、木々の葉も落ち、鮮やかさはないが、
新緑の頃なら、朱の社殿とともに美しい境内なのだろう。

当社の社名は、「いちみやあさま」と読むらしいが、
資料によっては「いちのみやせんげん」とも書かれている。

社伝によると、
景行天皇の御代に創建された古社。
貞観七年に神官を立てて、官社となったという。

三代実録によれば、貞観六年五月二十五日、富士山の大噴火があり、
これは、富士山を祀っていた駿河国浅間神社の神職の怠慢であるとして、
富士山北側にある甲斐国でも、浅間神を祀るべしと、
貞観七年十二月九日、勅により甲斐国八代郡に浅間明神の祠を建て官社とした(1)。

当時、八代郡では暴風や大雨などの天変地異が続き、
伴直真貞の託宣により、甲斐国に浅間明神を祀るべしとして、
郡家の南に、伴直真貞を祝として祀ったが、まだ神意に叶わず、
改めて立派な社殿を造営した(2)。

また、山梨郡にも、八代郡と同様に浅間明神を祀ったともある(3)。

この三代実録の解釈に異説があり、式内・浅間神社の論社が存在する。

まず、真貞の託宣により最初に八代郡に祀られた神社が式内社であるとする説(1)。
次に、後に建替えられた神社が式内社であるとする説(2)。
さらに、山梨郡に建てられた神社が式内社とする説(3)。

また、三代実録に記載された官社は、国史現在社ではあるが、
延喜式制定当時の官社と同じかどうか不明であり、
さらに、甲斐国一宮とされた浅間神社が、三代実録や延喜式に記載された
神社と同一であるかどうかも、異論のあるところ。
当社に関しては、三代実録にある、八代郡に祀られた神社と見る説がある(1)。

また、当社は甲斐国一宮であるという説もあるが、
近くに、二宮・弓削神社があることから、
当社は、甲斐国ではなく、市川郷の一宮であるという説が有力。

『神社名鑑』では、二宮・三宮ともに境内に存在していたとある。

社殿の左右には多くの石祠や石碑が並んでいる。
境内右手に、人形が奉納された地蔵のような石像を祀った祠。
その側に、鳥居が建ち、階段を登ると境内社の祠が一つあるが
何を祀っているかはわからなかった。
『平成祭データ』によると、当社の末社に愛宕社が記載されているが
これが、その愛宕社なのかもしれない。


社域

鳥居

参道

神門

拝殿

社殿

社殿

拝殿

本殿

石祠・石碑

境内社(愛宕社か?)

また、境内には「生祠」が二つ存在する。
「生祠」とは、生きている人間を祀るものだそうで「生き神様」だ。
ただし、現在はすでに死んでいる。
当社の生祠は、依田重左衛門安清、荒井清兵衛顕道を祀ったもの。

依田重左衛門安清の生祠は、延享四年(1747)の創建。
依田安清は当地の名主であった。
私財を投じて村を治め、享保三年(1718)には、
山口郡代と協力し高田村の水利を興し完成させた。
また、寛保二年(1742)の大水害においては、
一身を挺して全村の復興に務めた。
村人はこれを感謝し、延享四年、
生前の依田安清を生祠に祀った。依田安清はその四年後に没したという。


依田重左衛門安清生祠

荒井清兵衛顕道の生祠は安政四年、あるいは五年の創建。
荒井顕道は市川大門地方の代官であった。
安政元年(1854)の大地震の時、
高田村は一村全滅という大被害を受けていた。
荒井顕道はこれを見かね、幕府代官所の御用金を流用して村民を救った。
 が、このため荒井顕道は幕府に咎められることとなった。
村人たちはこれに感謝し、浅間神社境内に生祠を建てて祀った。
木造の祠は老朽化によって朽ち果て、
明治になって石祠になったが、現在は石柱に変えられている。


荒井清兵衛顕道生祠


【 一宮浅間神社 一宮淺間神社(印刷用ページ) 】

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