 上がり藤 |
 下がり藤 |
 八つ藤 |
 丸に下がり藤 |
 対い四つ藤 |
 角切角に 下がり藤 |
 東六條八つ藤 |
 西六條八つ藤 |
 下がり藤 |
 下り藤に山形に 一文字三つ星 |
 上がり藤に一文字 |
 下がり藤 |
 上がり藤に久 |
 下がり藤 |
 三つ藤巴 |
藤の葉と花を図案化したもの。藤はマメ科の植物で、「やまふじ」ともいう。藤の美しさを観賞するのは、『万葉集』に詠まれているように、奈良朝からすでに行われていた。また、延喜二年(九〇二)、醍醐天皇が藤花の宴を開いたとあり、このような、藤花を観賞する宴は、この花にちなんだ藤原氏の栄華とともに盛んになり、『源氏物語』『栄華物語』をはじめ、小説、詩、和歌、日記等の記録に多く見られる。藤の花という美的な文様は、『紫式部日記』『北野天神縁起』などに表現されている人物の衣服に見られるようになった。
藤紋は藤原氏の家紋のように思われているが、藤原氏流の各家が、すべて藤紋を用いてはいない。九十七家のうち、わずか七家に過ぎないといわれる。公家の藤原氏では、九条家、二条家のほかはほとんど用いず、地方に下った支流が、その氏にあやかって用いた。藤原秀郷流の近藤氏・武藤氏・佐藤氏・後藤氏・斎藤氏・加藤氏などの中には、「藤」にちなんで、この紋を用いているものが多い。
藤紋は、元来の形は花房の下る藤の丸(下がり藤)であったが、家運が下り坂になるのを忌んでのち、上がり藤丸(上がり藤)が登場した。花房の数によって、一房の片手藤丸、一つ藤巴、藤輪などがある。また、二房の左・右二つ藤巴、藤の丸など。三房の三つ藤の丸、左・右三つ藤巴などがあり、四、六、八の花房からなるものも知られている。さらに、ばら藤、枝藤など、形の変化で、種類も多い。
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