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クシとトヨ −神霊−
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「櫛」「豊」という字は神名に良く使用される美称らしい。

 「豊」は、そのまま、「豊かな」「豊穣」「充ちた状態」を意味する美称。豊受大神・豊玉姫がその例だ。
特に豊受大神は、豊宇賀能売(とようかのめ)とも呼ばれるが、豊穣の神(稲荷大神)である宇迦之御魂(うかのみたま)にさらに「豊」を冠したイメージだ。

 「櫛」は、「奇」とも書かれ、「豊」と同様の美称で、奇稲田姫は、美田・豊穣の姫の意味らしい。
あるいは「奇跡」の意味合いもあるだろう。


 「奇」という文字と、祭神の機能・神徳を考えると、「奇霊(くしたま)」という概念に通じるらしい。

神道の教義で、神や人間の霊魂は「一霊四魂」、つまり、一つの霊と四つの魂から成るとするものがある。
一霊は「直霊(ナオビ)」で、四魂は「荒魂・和魂・奇魂・幸魂」である。
荒魂アラタマ:神霊の機能としての、荒々しい側面。台風や洪水といった自然災害に代表される、怒れる神の作用だ。
和魂ニギタマ:荒魂に対するもの。神霊の機能として、人間に対する平和的側面。雨や日光の恵みなど。神の加護だ。
奇魂クシタマ:和魂の一つ。神の奇跡。神霊の機能として、特に医薬の分野で用いられる。人命に対する神の恵み。
幸魂サチタマ:奇魂と同じく、和魂の一つ。豊穣・豊漁など。神霊の機能として、特に産業に関わる分野で用いられる。
「櫛」=「奇魂」とする説は多くの資料に見られる。
ここで注目されるのは、「幸魂」の機能が、「豊」に充てられる点だ。神の機能とする「四魂」は以下のような関係にあるのではないだろうか。

「櫛」「豊」は、神霊の恵みに当る「和魂」の 2つの側面を意味するのかもしれない。
...つづく


【 クシとトヨ −神霊−:玄松子の雑記帳 】

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