青山神社
あおやまじんじゃ
茨城県東茨城郡城里町大字上青山229

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式内社 常陸國那賀郡 青山神社
旧村社
御祭神
五十猛命
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茨城県城里町にある。
城里町役場から西へ2Kmほど。道路脇に白い鳥居が建ち、
背後は、うっそうとした森。まさに欝蒼。
300mの参道が、森の中を北に延び、
杉や檜の巨木が、左右に立ち並び、昼でも暗い。
「アジサイの杜」とも呼ばれ、季節には紫陽花が参道に咲き並ぶ。
『常陸式内鎮座本紀』には、宝亀3年(772)、紀伊国伊太祁曾神社から
神託により、五十猛命を勧請とある。
他説には、この時に遷宮というのもあるらしい。
青山の社名は、祭神が新羅から木種を持ち帰り、各地に播種。
日本を、木々の茂る「青山」としたということから、と考えられている。
周辺は、上青山古墳群で、東西約400m、南北約150mの範囲に
高さ1m程度の四十数基の円墳(方墳二基)が散在するらしい。
中世には、祭神に関する伝承が途絶えたのだろうか、
鹿島明神とか、若宮八幡宮と称されていたが、
水戸光圀公によって、往古に復された。
昭和41年まで、特殊神事として「高祓」がおこなわれていた。
これは、2人の巫女が神木杉に注連縄を張り、神楽を舞う神事。
2人の巫女というのが、限定された人数であるなら、
祭神・五十猛命の2人の妹神(大屋津比賣命、都麻津比賣命)を連想して面白い。
玉垣内の本殿は、神明造で南向き。
玉垣の左右に境内社が2つ、天王宮(左)と八幡宮(右)。
他にも、冨士神社、疱瘡神社、天神社、稲荷神社、道祖神社など。
雨上がりのためか、ジャングルのように湿気を含んだ参道を歩くと、
体長15cmほどの大きな蛙が、参道の中央に蹲っていた。
動く気配がなかったので、飛び越えた。
参拝を終え、戻る頃には居なくなっていた。
杜と大鳥居
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境内
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拝殿
 | 本殿
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境内社
 | 参道にいた蛙
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延喜式内 青山神社
一、 | 御祭神。 五十猛命(いそたけるのみこと)を祭る。 |
二、 | 由緒沿革。
五十猛命は、素盞嗚尊(すさのをのみこと)の御子で
またの名を大屋彦命といい、御母は、大夜之神である。五十
猛命は、父君に従って新羅の国(韓国)に渡り、杉、桧、樟
等の八十木種を播種された後、その樹種を持ち帰り、築紫(
九州)の島より、広く大八州の国々に播種された。山林はう
っそうと茂り、貴重な用材となった。爾来、五十猛命は有功
神と申して、森林育成保護の神として祭ってきた。青山とい
う社名も地名も、御神徳より出たものと伝えられている。
青山神社については、宝亀三年九月二十九日(光仁天皇、
皇紀一四三二年、西紀七七二年)御遷宮説と御創建説とがあ
る。貞観二年、従五位下、仁和二年、従五位上、位田十二町
を授かった。醍醐天皇、延喜中、延喜式内小社に列し、常陸
二十八社の一座となった。霊元天皇、延宝四年十月、社殿、
神倉炎上し、重宝古記一切を焼失し、由緒不明となる。
中世、誤りて、若宮八幡と称し、又鹿島明神とも申された。
元禄九年十一月二日、水戸藩主光圀公は当社の事蹟をただ
して往古に復し、青山神社と改められた。
尚、水戸藩主は、青山神社に、米一石八斗三合を供せられ
たが、徳川斉昭公は、更に五石七斗五升五合に加増された。
明治四十五年三月二十八日、村社に列各。
大正元年十一月二十八日、供進指定(第一九四号)
昭和五年九月三日、宗教法人設立。
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三、 | 神宝 |
| (一) | 埴輪女子頭部、元禄年間、社殿再建の際、本殿地より発掘した奉納品である。 |
| (二) | 天狗面、秋季大祭の時、御輿と天狗面を出して、祭礼する宝物である。 |
| (三) | 大弓一張。徳川斉昭公奉納品である。
大弓には「諸矢正鵠、反諸求其身」という銘がある。その
大弓は、盗難にあったため、昭和五十三年二月十一日、栗
林三次郎氏が大弓の模造品を復元し、銘を所常蔵先生が書
かれて奉納した。埴輪女子頭部と天狗面は、昭和五十四年
一月より、氏子一同合意のもと、盗難をさけるため、茨城
県歴史館に寄託した。 |
四、 | 施設 |
| (一) | 御鎮座神殿(本殿)は、常北町上青山二二九番地に、慶応二年御造営、南向の神明造り、銅板葺 |
| (二) | 拝殿は、入母屋造千鳥破風トタン葺(赤) |
| (三) | 大鳥居、昭和五十年十二月吉日、杉材を人造御影石造りに再建(経費参百四拾万円也) |
| (四) | 境内面 四・九四〇平方メートル |
| (五) | 社有林面積 二〇・四二三平方メートル |
五、 | 祭祀 |
| | 元旦祭 | (一月一日) | 祈年祭 | (二月二十日) |
| | 春季例祭 | (三月二十八日) | 嵐消除祈願祭 | (四月十五日) |
| | 田植祭 | (六月十四日) | 秋季例祭 | (旧九月二十九日) |
| | 新嘗祭 | (十一月二十三日) | | |
−境内案内より−
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